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ダイバーシティマネジメントで組織を強くする~イキイキとキャリアを描ける組織づくり~

CyberZグループでは、年々女性社員割合や女性リーダーの割合も伸長しています。
経済産業省が策定した「ダイバーシティ2.0行動ガイドライン」でも定められている通り、多様性を推進するにあたってマネジメントという観点でも変化が必要だと考えています。
今回は、局長として活躍する齋藤健さんにD&I時代のマネジメントについてインタビューしました。

齋藤健
大手Sier企業を経て2005年CyberAgentに中途入社。インターネット広告事業本部においてメディア、エンタメ、 EC、人材、旅行、不動産、金融、保険、銀行など複数業界を営業職、スタッフ職にて経験。管理職としても従事し、営業/運用組織の立ち上げを経て、現在は株式会社CyberZの経営チームとして広告代理事業の営業、クリエイティブ組織を管轄し本業務に携わっている。

ーーー齋藤さんの管轄には女性社員や女性管理職が多くいらっしゃる印象ですが、ダイバーシティーに関して何か意識していたきっかけはありましたか?

局長に就任した2016年、マーケットに通用する人材を育てていかないといけないと考えていた際に、経産省がリリースした「ダイバーシティー2.0行動ガイドライン」に出会いました。これが私のマネジメントを行う上での『ダイバーシティー』を意識するきっかけになったと思います。
 このダイバーシティー2.0内の、『管理職の行動・意識改革:従業員の多様性を活かせるマネージャーを育成する』『従業員の行動・意識改革:多様なキャリアパスを構築し一人ひとりがキャリアを考えられるようにする』という項目を読んだ際に、「これだ!」と、強く印象に残っており、今でも自身のマネジメントの基準になっていると感じています。

ダイバーシティーというのは単なる女性の活躍だけではなくて、本質的には中長期的な企業価値を高めていくというところにあると思っています。当時のCyberZは女性管理職も少なく、上位プレイヤーも少なかった中で、上記のガイドラインを提唱していくことは女性活躍の面だけでなく組織成長にも繋げられると感じていました。

ーーー多様性が求められる時代の組織づくりにおいて、心がけていることはありますか?


プロジェクトのロードマップや、個人の目標設計を緻密に設計することが必要だと考えています。マネジメントの種類は、大きく分けて指示/依頼型参加/応援型の2パターンに分けられると思っていて、短期成果を求めるとなると前者の指示/依頼型になりがちだと感じています。しかし、このマネジメントだと個人の能力に見合わないオーダーだったり、組織として成果を出せる幅を狭めてしまうことがあるので、私は参加/応援型の『一緒に考える』というマネジメントを徹底しています。

具体的な方法としては、2ヶ年程度の中長期的成果を前提とした戦略を設計しています。この方法は、マネージャー層に対してもプレイヤー層に対しても同じで、二人三脚で成果を出すことを心がけていますし、このような一人ひとり丁寧に目標をすり合わせていくマネジメントはコンプライアンス遵守や働き方改革を提唱する側面からも、時代に合っていると個人的には感じています。
 初めは手探りでしたが、他社の方々にもアドバイスいただき、失敗を繰り返しながら徐々に確立できているのではないでしょうか。もちろん今も奮闘中ですが、個々の能力を最大限引き出せるように丁寧なマネジメントを心がけています。

ーーー女性メンバーのマネジメントで意識していることはありますか?

やはり男女で苦手な仕事の傾向は多少あると思っていて、例えば、論理的思考に関しては同年齢の平均で言うと、男性よりも女性の方が論理的に物事を捉えて意思決定をする速度が早い反面、生物学的に女性は男性よりも体力的な差が生まれやすいという点で、夜遅くまでの会食だったり、労働集約型の実務量をこなすということが難しい側面もあると思っています。

短期的な成果を求められた際に、男女共通で指示/依頼型でのマネジメントをしていくことが罠になってしまうことがあるため、(もちろん性別だけでなく最終的には個人の性質で判断していますが)女性に対しては男性よりも参加型/応援型でのマネジメントを行うことを意識していると思います。正直このマネジメント方法は労力がかかると思いますが、こういった地道で丁寧なマネジメントがチームビルディングを行う上で男女問わず大切だと思っています。

 もう一点意識している点は、視座をあげてもらうということです。ベテランも若手も関係なく同じゴールに向かって結果を出すために、お互いに目線を合わせることが必要です。また、若手に対しては『決断経験させること』が有効な手立てになると感じていますので、私のチームメンバーには意識的にチャレンジしてもらう環境を作っています。

私は女性を真ん中に置く布陣でチャレンジしてもらう環境を作ることがあります。その環境で成果がでた際は、会社目線で考えてもリターンが大きいです。そういった成果を出してもらうためには、先ほどお話しした通り中長期的な戦略を二人三脚で考えることが必要です。対話をする上で言葉選び一つだったり、上司や管理職という上の立場の人間というよりはお互いにフラットに目線を合わせることを意識しています。

ーーー女性のキャリアロードマップについて何か考えはありますか?


女性のキャリアという面では、産休や育休から復職した際に変わらないパフォーマンス出せる仕組みや適材適所の人材配置・個人の適切なミッション設定が必要だと思います。女性に関わらずこのような多様性は確実に組織成長に大きく関わると感じています。

マネジメントとは育成することだけではなくて、戦略を作り、仕組み整え、適材適所に人員を配置し、『強い組織を作る』ということだと思っています。そこから考えると、組織の何かしらの役割を担えるということが今回のキャリアロードマップの解答になるのではないでしょうか。手前味噌にはなりますが、CyberZはいい意味でフットワークが軽く、やるべきことを体現することがとても上手な会社だと思うので、女性が自由にキャリアロードマップを描けるという点においてかなり進んでいる環境だと感じています。

ーーー現在のCyberZの女性活躍推進においての課題とは?

今CyberZが追い求めている未来の実現のためには、活躍している女性社員に更に成長してもらう必要があると感じています。どちらかというとできていないことを改善するよりも、先々に描いている未来の実現に向けて動いていくフェーズだと思っています。

 具体的には、現在のマネージャー層には、彼らが歩んできたプロセスを、フレームにして育成サイクルを作って再現性を持たせることが必要だと感じています。やはり社会人1年目で経験していることが社会人のその後のベースになるので、そのベースを現在の1年目に持たせてあげる、そして「もっとこうすればいい」というところまで踏み込んで伝えられるといいのではないでしょうか。現在の女性リーダーのパワーアップ、組織貢献という意味でもメンバー育成や次世代の若手の引き上げに力を入れていってほしいです。

ーーー会社の規模が大きくなり異なる考えの社員も増え、全員が(地位的な意味での)上昇思考を持っていない中で、マネジメントをどう工夫したか教えてください。

一般的にビジネスにおけるステップアップといえば、管理職への昇格がイメージされると思いますが、私は管理職と同等にプロフェッショナル職も組織において大切な存在だと考えています。人それぞれモチベーションは違いますし、もちろん「新人賞をとりたいです!」という新卒が全員ではないです。実際に、コントリビュート型で貢献意欲が高く、組織貢献したいという人が私の周りにもすごく多かったです。そういった社員に対しては、ビジネスにおいて「どういう能力を身につけるか」という能力目標を設定するようにしています。

この能力目標は、広告代理事業においては新規領域、既存領域への事業に貢献できる能力、それこそ後輩の育成能力など、多角的に設定できると思っていて、これらの目標を適切に設定し身に付けられれば、自ずと成果は上がりますし個人個人へのバックも大きくなり、モチベーションに繋がると考えています。そんなメンバーに対して私たちマネジメント層は、自身のパワーアップした姿をイメージさせてあげることが大切になってくるのではないでしょうか。そういった意味でも、自分もまだまだインプット、アウトプットを通してメンバーに還元していきたいと感じています。

ーーー齋藤さんご自身の行動指針はありますか?

私は中途社員で、他社も見てきた身なのですが、CyberAgentグループは「こうなりたい」と頑張る社員がすごく多いと感じています。一般的な大企業などは、割と「こうなりたくない」がモチベーションになっていることが多いと個人的には感じていたのでとても良い風土だな…と。CyberAgent代表藤田も言っていますが、CyberAgentは「上の人が一番仕事をする」という文化があり、マネジメント層がチームとして成果を出すために考え抜いて、マーケットを作り出す動きをしているため、若手が上位レイヤーに対して憧れを抱きやすい環境だと思っています。

自身も上司のそんな姿勢をみて行動指針の一つになったと思いますし、現在マネジメントを担う立場で「社員の模範になる行動ができているか」は常に自分に問いながら律し行動しています。

ーーー最後に会社においてのダイバーシティーとは何だと思いますか?


女性活躍という面で言うと女性がイキイキとキャリアを描ける組織だと思います。国としても「2030年までに、指導的地位に女性が占める割合が、少なくとも30%程度になるよう期待する」と発表しており、各社女性活躍推進に取り組んでいますが、なかなか上手くいっている企業は少ないのではないでしょうか。CyberZでは、2020年にCDO室を設立し女性活躍推進に取り組んでいますが、この目標値はまだまだ難易度の高いものだと思っています。

しかし結局は、所属する喜びや尊敬できる仲間がいること、会社を信頼できる風土を作るなど、結果的に組織ロイヤリティを高めることで自然にこの比率は高まってくるものだと感じています。成長意欲を持ちながら日々活動できる機会を作ること、女性だけでない幅広い意味でのダイバーシティーは推進されていくと思っていて、そんな前向きに働ける環境を会社全体で作っていくことが大切なのではないでしょうか。

 共通で会社のカルチャーマッチという軸を持ちながらも、個々の方面で成長できる環境が会社においての理想のダイバーシティーに近いものだと思っています。いろんなモチベーションの人が入社する中で、業績をあげる組織構造を作るということが本質的な部分だと思いますし、そこに取り組めているかが今後のダイバーシティーの肝になってくると思います。

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